アンカーが効かない理由:ヨットが流される本当の原因
どれだけチェーンを繰り出すべきか、なぜ底質がアンカーより重要なのか、走錨をどう見分けるか、そして夜間に走錨して隣のボートに流されているときに何をすべきか。
アンカーは重さで効くのではない。アンカーが効くのは、チェーンの長さ、底質の種類、そして入れ方によってである。重さは重要度で言えば四番目であり、だからこそ大きなアンカーを積んだボートでも走錨は珍しくない。
実際に何が効き目を決めるのか、順に見ていく。
最も重要な数字:どれだけ出すか
アンカーが効くのは、海底付近でチェーンが水平に横たわっているときである。チェーンがフルークを海底に沿って引っ張り、食い込ませる。チェーンが上向きに引かれ始めた瞬間、アンカーは重さに関係なく海底から抜ける。
ここから単純な原則が導かれ、これは他のどの要素よりも重要である。
繰り出すアンカーロードの長さと水深の比率:
- 5対1以上 — 穏やかな天候での通常のチェーン投錨;
- 7対1 — 風が強い、あるいは強まる見込みがある場合;
- 10対1 — 嵐の際の投錨;
- これに更に長さを加える — ロープに短いチェーンを継いだコンビネーションロードの場合。軽く、形を保ちにくいためである。
そして水深は水面からではなく、バウローラーを基準に測ること。これは乾舷の高さにキール下の深さを加えたものである。船首の高いボートでは、この差が1.5〜2メートルにもなる。
投錨で最もよくある間違いは、周囲が混雑しているという理由で目分量で3対1しか出さないことである。それは投錨ではなく、風が吹かないことを祈っているだけである。
底質はアンカーより重要である
同じアンカーでも底質が違えば効き方はまったく異なり、その差は非常に大きい。
- 砂は最良の底質である。ほぼどんなアンカーでも効き、予測しやすい。
- 泥や粘土はよく効くが、アンカーが食い込むまでに時間がかかる。すぐに引っ張らないこと。
- 海草・藻場は最悪の条件である。アンカーは絨毯の上に乗るような形になり、滑る。マスクを使うか水の色を見て、砂地の切れ目を探すこと。
- 岩や砂利は偶然の引っ掛かりでしか効かない。びくともしないほど効くこともあれば、まったく効かないこともあり、後で回収するのも難しい。
- サンゴには投錨しないこと。効きも悪く、破壊してもいけない。
海図を見ること。底質は通常記載されている。五秒読むだけで一晩分の安心が手に入る。
投錨の手順
効果のある手順であり、無駄な工程は一つもない。
- 投錨地点を通過し、水深、底質、周囲のボートの位置を確認する。
- 風上に向けて船を止め、行き足をゼロにする。
- アンカーは投げ入れず、下ろす。投げ入れると自分のチェーンの上に山になって落ち、食い込まない。
- 微速後進しながら、チェーンを均等に繰り出す。チェーンは山にならず、一直線に伸びて横たわるようにする。
- 計算した長さを出し終えたら、チェーンを固定し、中程度の回転数で二十秒ほど後進をかける。
- 陸地を見る。二つの目標物が重なる一線から外れ始めたら、走錨している。
五番目の手順が最も省略されがちだが、アンカーが本当に効いているかを正直に教えてくれるのはこれだけである。夕方の三十秒の後進が、安眠できる一晩の価値を持つ。
走錨をどう見分けるか
- 陸上の二つの目標物の重なりがずれていく。
- ボートが風に対して横向きになり、振れ回りが止まる——これがしばしば最初の兆候である。
- チェーンが滑らかに張るのではなく、断続的に引っ張られる。
- チェーンに振動が伝わり、船首で手を当てると感じ取れる。
- 計器やスマートフォンのアンカーアラームが鳴る。
スマートフォンのアンカーアラームは、既存の安全対策の中で最も安価なものである。設定に一分もかからず、必要な時にきちんと起こしてくれる。
夜間に走錨した場合
暗闇の中で迷わないための手順:
- エンジンをかける。他の何よりも先に。
- 乗組員を起こし、デッキライトを点ける。
- 風上に向けて前進をかけ、チェーンへの負荷を抜いて流されを止める。
- 走りながら入れ直そうとせず、アンカーを完全に巻き上げる。
- 障害物のない水域まで移動し、適切な長さのチェーンで改めて投錨する。
やってはいけないこと:漂流中に「チェーンを足す」こと。繰り出している間もボートは流され続け、たいていは隣のボートの方へ流される。
他船の近くでの投錨
- 全船が同じ係留方式であること。チェーンで係留したボートとロープで係留したボートは振れ方が異なり、風向きが変わると互いに接近する。
- 振れ回り半径を計算する。これは繰り出したチェーンの長さにボートの全長を加えたものである。自分の円が他船の円と重なってはならない。
- 後から来た船が譲る。これは共通のルールであり、異議を唱えても意味がない。
- 他船のチェーンの真上に投錨しないこと。錨を上げる際に自分のチェーンと一緒に引っ掛けて持ち上げてしまう。
アンカー装備そのものの点検項目
シーズンに一度、できれば長い航海の前には毎回:
- アンカーとチェーンをつなぐシャックル:割りピンが入っているか、ピンが摩耗していないか。
- スイベルが付いている場合:回転するか、亀裂がないか。
- チェーンのマーキング。マーキングがなければどれだけ繰り出したか分からず、5対1の原則も機能しない。
- チェーンロッカー内のビターエンドの固定。これは必ず設けたうえで、ナイフで切断できるものにしておくこと。すべてを放出しなければならない事態になったとき、工具を探す時間はない。
- アンカー付近のチェーンの摩耗——ここが最も早くすり減る箇所である。
部品が必要なときに測っておくもの
アンカー装備はすべてチェーンの規格に結びついており、「ほぼ同じサイズ」ではウインドラスのチェーンホイールを通らない。
- チェーンの規格——ノギスで測った線材の太さ。
- ウインドラスのチェーンホイールの拡大写真。チェーンを乗せた状態で撮るとなお良い。
- ウインドラスの銘板——メーカー名とモデル名。
- シャックルとスイベルを定規と並べたもの。
この一式があれば、たとえそのモデルがとうの昔に生産終了していても、チェーンもシャックルもウインドラスの部品も選定できる。
まとめ
バウローラーを基準に、5対1以上のチェーンを繰り出す。底質は海図と目視の両方で確認する。アンカーは投げ入れず、下ろす。そして必ず後進で確認する——それがアンカーが効いているという唯一の正直な証拠である。それ以外はすべて願望にすぎない。